涼しい&快適!夏服の着こなしのコツ

涼しい&快適!夏服の着こなしのコツ

こんにちは。お洗濯マイスターの大貫です。今年の夏も暑くなりそうですね。暑さに負けず、涼しく快適に過ごしたいものですが、服選びや着こなしで工夫できることはあるでしょうか?「寒い冬に衣類を暖かく着こなすコツ」という記事でもお世話になった、快適環境生理学研究の第一人者で「快適な衣服環境作り」に詳しい神戸女子大学家政学部教授の平田耕造先生を再びお訪ねし、「暑い夏に衣類を涼しく着こなすコツ」を伺ってきました。

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こんにちは。お洗濯マイスターの大貫です。今年の夏も暑くなりそうですね。暑さに負けず、涼しく快適に過ごしたいものですが、服選びや着こなしで工夫できることはあるでしょうか?「寒い冬に衣類を暖かく着こなすコツ」という記事でもお世話になった、快適環境生理学研究の第一人者で「快適な衣服環境作り」に詳しい神戸女子大学家政学部教授の平田耕造先生を再びお訪ねし、「暑い夏に衣類を涼しく着こなすコツ」を伺ってきました。

再び神戸女子大におじゃましてきました。

〈目次〉
夏は、体から熱を逃がす着こなしで快適に
衣類を涼しく快適に着こなす3つのポイント
 └①手・腕・足を露出する
 └②服の中に風が通るようにする
 └③吸水速乾効果のあるインナーを着用する
ミントの香りを上手に使うことで、気分も快適に!
実験1 かりゆしウエアの涼しさ評価
実験2 吸水速乾効果のあるインナーのドライ機能を検証!
実験3 香りで涼しさの感じ方は変わる?

夏は、体から熱を逃がす着こなしで快適に

大貫平田先生、ご無沙汰しております。前回お話を伺った「寒い冬でも暖かい『衣類の着こなしのコツ』を知りたい!」という記事は、とても大きな反響がありました!ありがとうございました。

平田先生:それはよかったですね。

大貫:今回はその夏バージョンということで、夏に涼しい衣類の着こなしのコツなどを教えていただきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

平田先生:こちらこそ、よろしくお願いいたします。

大貫:日本の夏は年々暑くなってきているようですが、服の素材やデザインの選び方で、涼しさが変わることがあるのでしょうか。

平田先生:もちろんあります。涼しく快適に感じる着こなしのコツは、「体から効率良く熱を逃がすこと」なんです。では詳しくポイントをご紹介していきます。

平田 耕造先生

神戸女子大学家政学部教授・医学博士。「快適環境生理学」専門。「気象条件の急変や室温差に対して、衣服はポータブルな快適環境を作るもの。」とのお考えから、衣服内や皮膚の温湿度、皮膚血流や発汗などを指標として、衣服の快適性と体温調節機序に関する研究に取り組む。

平田先生が教える「衣類を涼しく快適に着こなすポイント」

①手・腕・足を露出する

手や腕、足は、人間の体の中でも「熱を逃がしやすい」場所です。

手・腕・足は、細長くて凹凸があるので、胴に比べ、容積の割に表面積が広く、構造上、熱を逃しやすいのです。
さらに、手足の末端には、体温をコントロールしてくれるAVA(動静脈吻合)という血管があります。このAVAは、暑さを感じると毛細血管の10倍くらい太くなり、血流を増やすことで熱を放散します。逆に、寒さを感じると細くなり血流を減らすことで、体温を逃がさない役目もしてくれるのです。

暑さを感じると、心臓から送り出された血液は、拡張したAVAを通過して熱を放散。その後、皮膚表面に近い静脈を通って、さらに熱を放散しながら、温度を下げて心臓に戻っていきます。

体にはこのようなしくみがあるので、夏は、手・腕・足を露出すると、効率よく体の熱を逃がすことができます。
暑くなると、私たちは自然と腕まくりをしたり、半袖になったり、女性はスカートをはいて足を露出するようになりますが、実は理にかなっているんですね。

②服の中に風が通るようにする

2つ目のポイントは、体幹部(=胴体部分)の風通しをよくすることです。
体幹部は、手足に比べて熱が逃げにくい場所です。衣類の中に風を通して流れを作り、積極的に体幹部から熱を逃がす工夫をしましょう。

例えば、

・シャツの襟元を開けて、裾はインしない(ボトムの中に入れない)
・ビジネスシーンなどでシャツの裾を出せない場合には、襟元だけでも開ける。
・袖口や肩、襟元が開いているデザインの服を着る 

などの着こなしがおすすめです。

沖縄県で夏に多くの人が着ている「かりゆしウエア」をご存じですか?
アロハシャツに似た半袖開襟のシャツですが、体幹部の風通しがよく、効率的に体から熱を逃すことができて、まさに理にかなったファッションアイテムと言えますね。

※かりゆしウエアの涼しさ実験はこちら

③吸水速乾効果のあるインナーを着用する

3つめのポイントは、「吸水速乾効果」のあるインナーを着用することです。

私たちの体は、熱くなると汗をかきますが、汗が皮膚から蒸発する際に、気化熱というものを放散して、体温を下げます。
吸水速乾効果のあるインナーを着ていると、汗がすばやくインナーの繊維と繊維の隙間に吸い上げられて広がるので、汗が蒸発しやすくなり、体温の上昇が抑えられるのです。
綿のインナーは、吸水性はいいものの水分を保持しやすいため汗が蒸発しにくく、体に熱がこもりやすくなります。また、外でたくさん汗をかいて冷房の効いた室内に入った時に、インナーに水分が残っていて冷えすぎて不快に感じることもあるので、吸水速乾効果のあるインナーを着用することをおすすめします。
暑い時はできるだけ着る枚数を減らしたいと思いがちで、インナーを着用しない方もいるでしょうが、肌にシャツが張り付いてしまったり、蒸発せずに肌の上を流れ落ちる汗が増えて、体の熱を逃しにくくなったりします。
夏こそ吸水速乾効果のあるインナーを着て、効率的に体の熱を逃がすようにしましょう。

※吸水速乾インナーのドライ機能の実験データはこちら

ミントの香りを上手に使うことで、気分も快適に!

暑くて不快な時、ふとミントの香りをかぐと、心地よく感じたり、癒されたりすることがありますね。衣類や部屋の中に、ミントの香りを漂わせてはいかがでしょうか。
香りを味方につけて、不快な夏を乗り切ることも、人間の知恵として使いたいですね。

衣類を涼しく着こなすコツまとめ

大貫:平田先生、今日は貴重なお話をたくさん伺うことができました。ありがとうございました。先生から教えていただいた暑い夏を涼しく、快適に過ごすための着こなしのポイントを夏物衣類のお洗濯方法とともにお伝えしていきたいと思います。

平田先生みなさんに衣類の着方でもいろいろ工夫をして、暑い夏を元気に乗り切っていただきたいですね。こちらこそ、ありがとうございました。

実験1 かりゆしウエアの涼しさ評価

近年、クールビスが浸透してきましたが、20代の若いビジネスマンを中心に、暑い夏でも長袖ワイシャツを着用している人は多いようです。
平田先生もおすすめの「かりゆしウエア」を着用すると、長袖ワイシャツを着た場合と比べてどのくらい涼しく感じるのでしょうか。
男性3名に長袖ワイシャツとかりゆしウエアをそれぞれ着用してもらい、右下腹部に温湿度センサーを取り付け、暑熱環境下(温度30℃、湿度60~70%)で10分間歩きまわった時の肌と衣類の間の温湿度を測定してみました。

かりゆしウエア着用時の様子

ワイシャツ着用時の様子

  • 着用衣類:かりゆしウエア(綿70%、ポリエステル30%)、ワイシャツ(綿65%、ポリエステル35%)

その結果、3名ともかりゆしウエアとワイシャツを着た時で、温度の違いはほとんどありませんでしたが、湿度はかりゆしウエアを着た時のほうが低い傾向でした。
そして、感想を聞いてみると、「かりゆしウエアを着ていると、すっと風が通って涼しく感じ、汗があまり出なかった」「ワイシャツは首元、袖口が詰まっていて、蒸れて暑苦しく感じた」などの意見が出て、3名とも長袖ワイシャツよりも、かりゆしウエアの方が涼しく感じていました。

得意先との打ち合わせなどで、長袖を着用しないといけない場合もあるかもしれませんが、オフィスでは半袖を着用したり、腕まくりをしてできるだけ腕を出したり、襟元、袖口、裾などが広く開いている服を着用して、少しでも体から熱を出すようにすると心地よく過ごすことができそうですね。

実験2 吸水速乾効果のあるインナーのドライ機能を検証!

平田先生から、「吸水速乾効果のあるインナーは綿のインナーより汗が蒸発しやすい。綿のインナーは蒸発しにくいため、たくさんの汗をかいた後、冷房の効いた室内に入ると冷たく感じる」といったお話がありました。

そこで、吸水速乾性のインナーと綿のインナーを着用して、夏の屋外(32℃)でランニングを20分間行った後、室内(28℃)に入って休憩20分後と1時間20分後の背中の温度変化をサーモグラフィーで撮影してみました。

  • 着用衣類:①吸水速乾性のインナー (ポリエステル87%、ポリウレタン13%)、②綿のインナー(綿100%)を半裁し、片側が①、もう片側が②になるようにファスナーでつなぎ合わせた

その結果、ランニングをしてたくさんの汗をかき、室内で20分休憩した後は、どちらも温度が高い状態でしたが、1時間20分経過した後は、吸水速乾性のインナーより、綿のインナーの方が全体的に温度が低くなっていました。

実際ランニングをした人に感想を聞いたところ、1時間20分後は、吸水速乾性のインナーの方は、さらっとしているが、綿のインナーは汗で濡れていて冷たく、不快に感じたといった意見が聞かれました。吸水速乾性のインナーは汗が蒸発しやすいため冷えは少なく、綿のインナーは汗が止まったあとでも濡れているため、体が冷えてしまうことがわかりました。

たくさんの汗をかく環境では特に、吸水速乾効果のあるインナーを着用すると汗が蒸発しやすいので、発汗停止後も冷えが抑えられ、心地よく過ごすことができそうですね。

実験3 香りで涼しさの感じ方は変わる?

暑い夏、香りで少しでも快適に過ごしたい。と思う方もいらっしゃるかもしれません。
夏の香りの1つとして挙げられるミントの香りがする衣類を着用すると、どんな気分になるか評価してみました。

実験は、暑熱環境下(30℃80%)で、ミントの香りがする衣類とフローラルの香りがするTシャツを着用し、軽く運動した後脱いで、衣類を着用した時の気分を聞く方法で行いました。

<香りによるTシャツ着用時の気分の違い>

  • 実験方法:Tシャツ(ポリエステル67%・レーヨン28%・ポリウレタン5%)を、ミントの香り(洗剤:トップスーパーNANOX涼感クール アイスミントの香り、柔軟剤:ソフランプレミアム消臭涼感クール アイスミントの香り)とフローラルの香り(洗剤:トップスーパーNANOX クリスタルソープの香り、柔軟剤:ソフランプレミアム消臭 フローラルアロマの香り)で洗濯。暑熱環境下(30℃80%)で、ミントの香りとフローラルの香りのTシャツを着用し、10回腕を回した後脱いで、衣類を着用した時の気分を7段階で評価。20~50代の男女15名。

その結果、暑熱環境下でミントの香りがする衣類を着用した場合、フローラルの香りがする衣類を着用した時よりも「すっきりする」、「涼しい感じ」、「夏に向いている」、「リフレッシュする」、「頭が冴える感じ」で高い評価になり、香りで涼しさに対する感じ方や気分が変えられることがわかりました。

暑い夏を快適に過ごすために、ミントの香りをぜひ活用してみてはいかがですか。

以上、夏を涼しく乗り切る着こなすコツをご紹介しましたが、いかがでしたか?暑い夏を少しでも快適に過ごせるように、ぜひ今回ご紹介したコツを試してみてくださいね!

大貫 和泉

お洗濯マイスター

大貫 和泉

おおぬき いずみ

洗濯用洗剤などの製品開発・調査に約20年携わってきました。
母親としての経験と研究活動を融合し、日々のお洗濯に役立つ情報をわかりやすくお伝えしていきます。

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