思考整理のプロ「Webディレクター」が指南する究極の部屋の片付け方
部屋を片付けたいと思っているものの、なんとなく放置したまま...。そんな人でも習慣にできる片付けの方法を学び、実践する企画。今回の指南役は、Webディレクターの田口真行(たぐち・まさゆき)さん。Webサイトを設計する際の思考法を応用した「お片付けディレクション」で、理想の生活空間へと導いてもらいました。床が全く見えなかった部屋がスッキリし、体験者の満足度もかなり高かったようです。
片付け体験のためにお宅へ訪問
今回、「お片付けディレクション」を体験するのはこのご夫妻。
「お部屋の片付けはほぼ奥さんにお任せ」という旦那さんと「旦那さんは部屋を片付けないものだと思っている」という奥さんが暮らすお部屋にLidea編集部が伺います。
玄関のドアをあけたとたん、Lidea編集部・青嵜(あおさき)は独自のレイアウトのお部屋に面食らった模様。
ごちゃごちゃしたベッドの上に乗り、洗濯物を干す旦那さん。
その下には…自転車が…!!
本棚の向きが変! 確実に棚の中のものを取り出せないじゃないですか。
仕事をするときの専用スペースの確保も難しいので、常にコーヒーテーブルで作業。使い終わったら、パソコンは床に置きます。
ここで散らかった情報を整理するプロフェッショナル、Webディレクターの田口真行(たぐち・まさゆき)さんをお呼びしました。Webサイトを作るときに用いるディレクション手法を応用した「お片付けディレクション」を通じて、理想の生活空間へと導いてもらいます。
田口 真行(たぐち まさゆき)
株式会社デスクトップワークス 代表取締役・Webディレクタースクール 主宰。 1999年、フリーのWebディレクターとして独立後、株式会社デスクトップワークスを設立。 企業Webサイトの企画~設計~制作運用を手掛ける傍ら、独自のディレクション手法を活用した実践型研修講師として、全国各地で19年間に渡り1000回以上のセミナー登壇や企業研修を展開。
片付けの前に決める3つのこと
片付けようと決めてすぐ手を動かし始めるのは危険。住人にとっての居心地のよさが定まらないとゴールが見えてこないので、結果的に何も決まらず片付かないままで終わります。
【要件定義】居心地のよい状況とは?
「居心地」に対する感覚は人それぞれ。夫婦2人で住む場合、お互いの感覚をしっかり共有しないと、どちらかが不満を持ったままの状態になってしまいます。
「片付け」をUI(ユーザーインターフェイス)とUX(ユーザーエクスペリエンス)の視点で見ると、UIは機能性・利便性、UXは「スッキリする」という体感の部分です。ここでは住人をペルソナ(具体的なユーザーの人物像)とし、住みやすさの精度を高めていくことにします。
感覚の差をハッキリさせるために「自分にとって居心地がいい状況」「相手にとって居心地がいい状況」を書き出していきます。
【ゴールの設定】理想形をイメージする
ここから理想形をすり合わせ、「どんな居心地を目指すのか」を設定。Webディレクションの場合だと「どんなWebサイトにするか」を決めた上でデザインやコンテンツを決めますが、片付けの場合も同じです。
【判断基準の設定】決裁者を決める
途中で意見がぶつかるとプロジェクト進行の妨げになるので、事前に判断基準をつくりましょう。エリアごとの担当を決め、最終判断に悩んだときはどちらかが決裁者になります。
片付けをすべて任されていた奥さんいわく「一回夫にひとりでやってみてもらいたい!」ということで、旦那さんを全ての決裁者としました。ゴールのイメージは共有されたので、それを踏まえた上で旦那さんはジャッジしていきます。
片付けを実践するときの3つのステップ
Step1:整理→「取捨する」
家にあるモノをすべて取り出し、5秒で「いる、いらない」の判断をしていきます。
迷ったら「モノに家賃がかかっている」「もし全然知らない人が、これを家に置かせてほしいと言ってきても嫌じゃないか?」と考えてみるといい、と田口さん。基本的には「いる」「いらない」の判断のみにしていくようにし、それでも困ったら、「迷う」の箱に入れておいて後回しに。
決裁者は旦那さんですが、片付け当日は奥さんが不在。「捨てたら奥さんに怒られるかも!?」と思ったモノは「迷う」のほうへ。
ケーブルや充電器、文房具などは、なくしたと思い込んでつい新しく購入してしまうことがある、と旦那さん。それぞれひとつだけ残し、ほかは「いらない」ボックスへ。
作業が進んだら場所を変えて、気分転換しましょう。
発掘されたモノに対して「懐かしい」「高かったから捨てるのがもったいない」という感情はおさえるようにします。考えるのは「いる、いらない」だけ。
一通り分類したら、「迷う」ボックスの中身を見ながら「残す、残さない」の協議をし、「誰が、どう思っているか」をハッキリさせます。
そして「迷う」ボックスの中身を「保存BOX」「一時保管BOX」「破棄」の3つに振り分けます。この作業によって、最終的に部屋がキレイになるかが決まります。
使わないけど捨てられない愛着があるモノは「一時保管BOX」に入れ、目につきやすい場所に置いておけば、「本当に必要か」を頻繁に意識するようになります。こうして定期的に取捨するくせをつけていきましょう。
Step2:整頓→「レイアウトを決める」
家具のレイアウトを決めます。これはいわゆる「ワイヤーフレーム」をつくる工程と同じです。
つぎに家電や備品などのモノのレイアウトを決めます。種類や使用頻度によって定位置を決めることが大事。カテゴリー分けが難しい場合は、ひとつ「グレーBOX」を作り、その中だけはぐじゃぐじゃでもいいことにします。
一通り決まったら、試しに一週間この状態で暮らしてみます。生活するなかでまた協議をし、改善検討。取捨と同じように、この作業も繰り返します。
Step3:掃除→「運用する」
片付いた状態を保つための「運用」について考えます。
エリアごとに必要な「タスク」を全て洗い出し。Webサイトに置き換えると、更新やメンテナンス作業を明確にするためにWBS(プロジェクトの各工程を各担当者の作業レベルまで落とし込んだ表)を作成するような感じです。
つぎに各タスクに対して、担当者を割り振り。
最後に、シフトを決めるような感覚で作業ペースを決めていきます。
しばらくこの通りに片付け作業を進めてもらい、終わったころに再訪問することにしましょう。
数日後、片付いた部屋へ再び訪問
途中で疲れて判断力が鈍りつつも、進行の妨げになるような意見の衝突もなく作業は進みました。片付けが終わり、数日過ごしてもらったところで再びお邪魔してみると…
見比べるとフリーの床スペースがかなり増え、努力の跡が垣間見えます。実際に体験した夫妻の感想は?
(妻)仕分けが楽しかったです。一気に全部捨てる「断捨離」には抵抗があったけど、これなら定期的にできそう。
(夫)大変でした。ほぼ引っ越しみたいな作業ですよね。あと、この片付けの考え方は仕事にも応用してみたいと思いました。
(妻)捨てる勇気が持てなかったものも、何回か取捨を繰り返せば減っていきますよね。
(田口さん)繰り返していくと、判断がスムーズになりますよ。あとは定位置が決まらないものって、結局その家において重要じゃないものだったりするんですよね。
(夫)捨てる基準は変わりましたよね。家の中での無駄な探し物も減って、ストレスも減りました。夜疲れて帰ってきても、すごく気持ちがいいです。
(田口さん)おふたりは意見のぶつかり合いがなかったですね。お互いを尊重し合ってるからだと思います。人によってはもっと衝突すると思います。片付けを通して夫婦の関係性もわかるものですね。
(夫)部屋が狭いからか、どこに何を置くのか決めやすく衝突が起きようがなかったのかもしれないです。役割をはっきり決められた点もよかったですね。
(妻)ふたりで同じ目標に向かうことができた気がして、とてもいい勉強になりました。共通のルールができてよかったです!
今まで奥さん任せだった部屋の片付けでしたが、今回のプロジェクトをとおしてふたりで部屋や暮らしに向き合うきっかけとなりました。旦那さんは、Webディレクションの思考法に興味を強く持てたので、今後はより積極的に「改善提案」もしたいとのこと。「共通目標」ができたことで奥さんの心の負担が減り、夫婦の関係もよりよくなりそうです。
Webディレクター田口真行さんの「お片付けディレクション」のSlideShare
・当記事に掲載の情報は、執筆者・監修者の個人的見解で、ライオン株式会社の見解を示すものではありません。
この記事を書いた人
さくらいみか
島根県出身。ライター、WEBエンジニア、編み物作家。掃除、洗濯、家事全般が苦手なのをどうにかしたい。若干コレクター気質なので物も増え気味。
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