昔と今のお見合い夫婦に、パートナーと幸せになるコツ聞いてみた
みなさんの周りに、素敵だなと思うカップルはいますか?11月22日は「いい夫婦の日」ですが、結婚に至るきっかけや結婚に対する価値観は、時代によって変化してきました。「結婚=幸せ」とは言い切れませんが、結婚を前提に出会って、短期間で成婚し、幸せになったカップルもいます。その代表的な形が「お見合い結婚」。今回は、お見合い結婚をした30代と80代のご夫婦にインタビューし、パートナーと幸せに暮らす秘訣を探ります。
11月22日は「いい夫婦の日」。夫婦になる出会いやきっかけは、職場恋愛や友人知人の紹介、近年では婚活パーティにマッチングアプリなど数多くあり、また事実婚、別居婚…などパートナーシップも「結婚」にとらわれず、多様化してきました。
結婚=幸せの形とは限りませんが、「結婚」を大前提に出会い、成婚。幸せになった夫婦も数多くいます。その代表的な形が、「お見合い結婚」です。
やや前時代的なイメージもありますが、「お見合い結婚」が全体の半数以上を占めていたのは1960年代。この40~50年で、結婚の価値観、お見合いの形式も大きく変化しているようです。
「結婚」がお見合い全盛期の昔と、その形が多様化している現在。それぞれの時代に「お見合い」をして夫婦となり家庭を築いている人たちは、結婚や幸せに対してどういう意識を持っているのでしょうか?お見合い結婚をした二組のご夫婦へのインタビューから、時代ごとのお見合い事情や幸せの築き方を探ります。
もうすぐ結婚60周年!まさきさん・さなみさんご夫妻
夫:まさきさん(82歳) 妻:さなみさん(80歳)
・1961年結婚
・お見合いでお互いに一目惚れ。2回目に出会った時は結婚式!
最初にお話を聞いたのは、もうすぐ結婚60周年を迎えるまさきさん、さなみさんご夫妻。
ふたりがお見合いで出会ったのは1961年、まさきさんが22歳、さなみさんが20歳の頃でした。今から約60年前のお見合いは、相手の職業や趣味はもちろん、なんと写真1枚の事前情報さえもなかったそう。
では、ふたりはなぜお見合いすることになったのでしょうか?
まさきさん「早くに母を亡くして、父と姉、妹と生活していました。姉と妹が結婚して家を出て父とふたりで暮らすようになると、父の友人が『再婚する気はないか?』と声をかけてくれたんですね。でも、父は『自分はもういいから、息子に誰か紹介してくれないか』と。私はまだ若かったから、結婚したいという自分の意思があったわけではないけれど、『顔を見るだけでもいいなら…』ということで会いに行きました。それが妻とのお見合いだったんです。山奥に住んでいたから、バイクに乗って街に出かけてね」
さなみさん「私も結婚への意識はおろか、恋愛もまったく経験がありませんでした。当時はみんなお見合い結婚だったから、恋愛結婚に対する憧れもなかったですよ。お見合いの話がきたのは成人式が終わったタイミングで、結婚なんてまだまだイメージできなくて。ただ『田舎に住んでいるいい人がいるから会ってみない?』という感じでした。お見合い当日は食事して映画を観て。何を話したか覚えてないけれど、とにかくイケメンやったから一目惚れしちゃってね(笑)」
お互い好印象だったとわかると、仲人さんがすぐに日取りを決め、お見合いの1か月後にふたりは結婚しました。2度目の出会いが結婚式なんて、現代ではなかなか考えられない超スピード婚です。もちろん当時は、携帯電話はおろか、一般家庭には電話すらほとんど普及していなかった時代。その1か月の間、一切連絡を取ることはなく、お互い結婚式が楽しみな気持ちと同時に、「相手とどう接すればいいのか」などの不安もあったそうです。
まさきさん「お互いの仲人さんの仕切りで新郎の家に集まって、新郎の家族と近所の人たちとご飯を食べることが、当時の田舎の結婚式でした。昼から夜までみんなでお酒やご飯を楽しんだと記憶しています。男手一つで育ててくれた父が『嫁をもらう息子を見ることができて、長生きしてよかった』と言ってくれました」
さなみさん「その日から新郎の家で暮らしていくことになるので、生活道具を全て持って結婚式へ向かいました。式当日に父が体調不良で倒れてしまい大慌ての1日で、喜びもあったけれど、父が心配でならなかったことを覚えています。母は、娘が山奥へ行ってしまうのが本心では反対で、心配のあまり泣いていました」
弱音を吐かずに乗り越えた新婚一年目
新婚生活は、まさきさんが住んでいた小さな村からスタートしました。村には4軒しか家がなく、自然に囲まれた環境。街で育ったさなみさんは、「空気はきれいなところだったけれど、若い人も少なかったし、風が吹いたら家の中まですごい音がするし、冬は雪も深い。正直に言うと、最初の頃はすごく寂しかった」と言います。
さなみさん「家事も全然やったことがなくてね(笑)。ご飯を窯で炊いて真っ黒にしちゃったり、もう失敗の連続。まさきさんに家事を教えてもらうこともありましたね。父からは、『嫁いだ家が自分の家になるので、どんな事があっても辛抱するように』と言われていたので、早くこの環境に慣れなくてはと必死でした。昔は気に入らないことがあったからといって、すぐに家を出るわけにもいかなかったですからね。電話もないから友達にも連絡できないし、本当につらい時、こっそり親に手紙を書いたけれど『心配させたらいかん』と思って、結局出さずにいました」
まさきさん「我が家に女の人が来て、これから一緒に暮らしていくことを考えると、はじめの頃は不思議な感覚でした。不安もあっただろうに、弱音も吐かず本当に感謝ですよね」
“辛抱”の時間も楽しむことで、夫婦の絆は深まっていく
1年ほど経った頃、ふたりはさなみさんの父の誘いで、街に引っ越すことに。そこからは、まさきさんは自動車の教習所、さなみさんはタオル工場で一生懸命働きました。3人の娘にも恵まれましたが、決して裕福な家庭ではなかった、とおふたりは話します。
まさきさん「ふたりとも若かったのでお金の余裕が全くなく、夜も寝ずに働きました。妻はムダ使いせずにお金の管理をきっちりしてくれたおかげで3人の娘を育てることができた。体が弱かった長女は何度も入院してね。その時はつらかったけど、子どもを守ってやりたい一心で、ふたりで看病しました。元気になってくれた時は本当にうれしく安心しましたね」
「貧乏やったけど…楽しかったこともある」と、さなみさんが笑顔で教えてくれたのは、夫婦で通った思い出の屋台。
さなみさん「たまにご褒美として夜に自転車に乗ってね。港の屋台に行ってあったかいラーメンやおでんを食べるのが唯一の楽しみでした。生きていくために、ふたりでなんとかお金を稼いで子どもを育てることがやっとの時代だったから大変でしたけど、そんな中でも楽しみを見つけてなんとかやっていましたね」
仕事と子育てに追われてあっと言う間に過ぎていった日々を「辛抱の連続だった」と言うふたりの顔は、どこか穏やかそうでした。
まさきさん「これまで、よう辛抱してついてきてくれた。私は勝ち気な性格だからケンカもあったけれど、大きなケンカにならなかったのは、妻のおかげです」
さなみさん「余裕がなくつらい時を一緒に耐えたから、今の幸せがある。もちろん我慢はよくないですよ。何かあったらお互いに考えていることを言い合うのは大切だし、今だってたまにケンカします。でも、別の部屋に行ってちょっとすればいつの間にか元通りになっていますよ(笑)」
孫が感じる「あ・うん」の呼吸
インタビューが始まる前は「昔のことだから忘れていることも多いけど…」と、恥ずかしそうにしていましたが、出会った当初の気持ちも結婚してからの思い出もお話ししてくれたふたり。
子育てが終わってからは、料理、洗濯、内職のタオル裁縫まで、すべての家事を一緒にやっているそうです。夫婦円満の秘訣を聞くと、「健康第一でお互いストレスをためないこと」だそう。共通の楽しみは、高校球児の孫の試合をふたりで見に行くこと。
まさきさん「孫が6人、ひ孫は2人いるんです。親戚が一同に集まれる日が何よりうれしいですね」
実は、取材にはお孫さんが同席。「ふたりの周りにはいつも心地良い空気が流れているから、みんなが帰りたいと思える場所になっています。祖父母は、炊事洗濯、全て一緒に家事をしているんですが、僕には見えないそれぞれの役割分担があるんです。そんなふたりの日常を見ていると、長い年月をかけて作ってきた『あ・うんの呼吸』があるんだろうなと。祖父母の家に帰るたびに、後ろからしばらくじっと見ていたくなるほど、素敵な光景です」と教えてくれました。
結婚相談所で出会い、5か月後に結婚した優太さん・香織さんご夫妻
夫:優太さん(36歳) 妻:香織さん(36歳)※仮名
・2014年結婚
・4歳と1歳の娘さんの子育て真っ最中
続いてお話を伺ったのは、東京にお住まいの優太さん・香織さんご夫妻(仮名)。それぞれ「30歳までに結婚したい!」そう考えていたおふたりは、大手結婚相談所の紹介でお見合いをして出会いました。そもそも、30歳までに結婚したいと思っていたのは、なぜでしょうか?
香織さん「2〜3人子どもが欲しいと考えていたので、出産のことを考えると30歳までにはと。周囲にプレッシャーをかけられたわけではなく、自然に自分でそう思っていました。それなのに、29歳で当時お付き合いしていた彼と破局…。母と姉の勧めもあって、30歳の誕生日の一週間前に結婚相談所に入会しました(笑)」
優太さん「僕は特にこれといった理由はないけれど、なんとなく30歳までに結婚したいと幼い頃からずっと思っていたので、28歳で入会して2年ほど婚活しました。入会することについては、家族にも友人にも相談しなかったですね」
ふたりが利用していたサービスは、登録者のプロフィールを検索して、気になる人にメッセージを送ることからスタート。そこでお互いにいいなと思ったら、初めてコミュニケーションが成立します。
出会うまでも一苦労!?気力が必要な現代のお見合い
香織さん「結婚をしたい人が集まる相談所ですが、結局は自分から行動しないといけないので、結構大変でした。自分がいいなと思った人からリアクションがなかったり、せっかく会っても会話が弾まなかったり、入会1か月にして精神的にかなり落ち込んでいましたね…。夫からメッセージが来たのはそんなタイミングでした」
実は、メッセージをもらう前に優太さんのプロフィールをチェックしていた香織さん。でも、『素敵な人だけど、相手にされなかったらまた傷つくな』とネガティブになってしまい、自分からアクションを起こせなかったそう。そんな中で優太さんからのメッセージはとてもうれしかったとか。何度かメッセージのやりとりを重ねたのち、初デートは「甘味処」でした。
優太さん「妻は黒いトップスに赤いスカートを着ていました。僕の好きな色だったのと、これまで出会ってきた人と違うテイストのファッションだったので、すごく印象に残っています」
香織さん「婚活は万人に受け入れられる洋服が望ましいと言われるのですが、自分が好きなファッションでいこう!とそのスタイリングにしてよかったです(笑)。私は彼に、これまで会った人とは違うトキメキを感じて楽しかったけど、彼は全く目を合わせてくれなくて。『次のデートはなさそうだな』と帰り道に落ち込んだ記憶があります」
その時の気持ちを優太さんに聞くと「恥ずかしくて目を見られなかった」とのこと。その後、無事にデートを楽しんだものの、優太さんから結婚についての話がまったくなく、香織さんは「これ以上の進展を考えていないのだろう」と勘違いして、優太さんの連絡に返信しなくなってしまったそうです。
そこで、焦った優太さんは「相談員さん経由で香織さんに連絡を取る」という手段にでます。
優太さん「マッチングが成立するとそこから相談員さんは介入しないルールだったので、かなりイレギュラーなことだと…。でも、彼女とうまくいかなかったら結婚相談所をやめようと考えていたので、思い切って行動しました」
再会したふたりはお互いの気持ちを正直に話し合います。そこで、誤解が解け、ふたりの距離は一気に縮まりました。「この人と結婚したい!」と思った決め手はなんだったのでしょうか?
優太さん「3回目のデートで好きな映画とゲームの話になったんです。それがどちらも共通していて、その時に結婚を決めました」
香織さん「え、そこ…?(笑)。私は相談員さんを通した行動を取ってくれて、その真剣さがうれしかったです。あと彼の家族はクリスマスをとても大切にしていて、そのホームパーティに招いてくれたんです。彼の祖母と母がとても優しくしてくれて、それも決め手になりました」
そして、ふたりは出会って5か月後に入籍します。
プロフィールだけではわからない人柄が、何より大切!
お互いの学歴や仕事、趣味などがわかった上でやりとりが始まる現代のお見合い。
優太さんと香織さんは、結婚前にお互いの将来設計や理想をどれくらいすり合わせていたのでしょうか?プロフィールを見た上で交際に発展するからこそ、さぞや綿密に…と予想していたところ、意外にも「あまり細かく話していないんです」という答えが返ってきました。
優太さん「自分のキャリアについての夢は少し話しましたが、それ以外はあまり話してないですね。お互いに3人兄弟なので、子どもそれくらい欲しいねと話したけど、それが結婚前だったか後だったかは覚えてなくて。トントン拍子で結婚の話が進んだので、深い話はしてなかったかも」
香織さん「理想の未来のすり合わせもしておくに越したことはないけれど、『この人と結婚したい!』という気持ちを見逃さないのも大切なんじゃないかな。結婚相談所は、最初は相手の情報がきっかけで出会うけど、やっぱり会って初めて感じる人柄や話し方、空気感みたいなものが何より重要かなって思います」
結婚してからお互いを深く知ることで、幸せは右肩上がり
インタビュー中も、仲睦まじい雰囲気がしっかり伝わってくるふたりですが、一緒に住み始めてからの数か月はお互いになかなか素を見せられない時期が続いたそうです。
香織さん「一緒にごはんを食べる時も、お互い無言で黙々と食べ続けてたよね…(苦笑)。あれ?新婚生活ってもっと楽しい感じじゃないの?と戸惑いました。夫も私も『婚活と結婚』がイベントになってたんでしょうね。入籍して気持ちが落ち着いた時に、改めてこの人と一生一緒にいるんだなって実感したんです。なのに、食事で夫婦の会話がないぞと。これはいかん!と思いました(笑)」
優太さん「婚活は結婚がゴールだけど、本当のスタートはそこからでしたね。結婚=生活と現実を突きつけられました。自分が無口なのもあって、妻に『考えていることをちゃんと話して』って言われたんです。それが、夫婦が歩み寄る一つのきっかけになったかもしれません」
香織さん「あとは入籍してから半年後に行った結婚式の準備などで協力することが増えて、だんだん無理なくリラックスして過ごせるようになりました」
そんな経験もあり、今二人が大切にしている夫婦の習慣は、「会話を大切にすること」「感謝を伝えること」。
香織さん「今は子育ての真っ最中なので、会話も感謝もより一層大切にしています。産後、夫は何をサポートしたらよいのわからない様子だったから、私もちゃんと言葉にするように心掛けました。今は夫も家事や育児を率先してくれるので、『ありがとう』という言葉が自然に出てきます。私たちのペースやリズムがだんだんと掴めてきた感じがするし、夫が子どもたちと遊んでいるのを見ると、本当に結婚してよかったなと思います」
優太さん「結婚相談所のプロフィールに『優しい奥さんと元気な子どもたちに囲まれながら、明るく爽やかな家庭を築いていきたい』と書いていたのですが、今まさにその幸せを実感しています。今は子どものことでたくさんの会話をしているけれど、子育てがひと段落してもコミュニケーションは大切にしたいですね」
香織さん「そうだね。この4年間は本当に子育てを一緒に頑張った記憶だけど、実は今日は久しぶりにランチして、ふたりでゆっくりで話す時間がとれました。そういうちょっぴり特別な時間がうれしかったです。恋愛結婚でないぶん、生活しながらお互いを知っていく感じもあるので、結婚直後は戸惑いもあったけど、そこを乗り終えてから幸せは右肩上がりです!」
時間をかけて、いい夫婦になってゆく
仕組みこそ違いますが、それぞれの時代の「お見合い」という共通点を持つ二組のご夫婦。
どちらも同じお見合いですが、比べてみると、時代と共に結婚に対する価値観やプロセスなどには大きな変化があったことがわかります。
昔と今、結婚のあり方や、取り巻く環境は大きく変わりました。
しかし、どちらのご夫婦にも共通していたのは、「結婚当初のうまくいかない時期をともに乗り越えたこと」「会話やコミュニケーションを大切にする」ということでした。
二組とも、結婚前の十分なお付き合い期間はありませんでした。しかし、だからこそ一緒に暮らし始めて多少の戸惑いがあっても、相手を知るためにコミュニケーションを欠かさなかった。
これは、誰かと人生を共にし生活を営むこと、そして相手との「繋がり」をよい形で続けていくために、大事なことなのかもしれません。
お見合い結婚をされた二組のご夫婦のお話。そこには、決して夫婦間だけではない、誰かと「幸せな関係を築く」ヒントが隠されていました。
編集:ノオト
・当記事に掲載の情報は、取材対象者の見解で、ライオン株式会社の見解を示すものではありません。
この記事を書いた人
関あやか
有限会社ノオト所属の編集者、ライター。ヨガウエアやオーガニックコスメの販売経験から、好きな分野は美容、健康、料理、ライフスタイルなど。現在は、企業のオウンドメディアを中心に活動中。
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