目の疲れの原因は「角膜のダメージ」かも!? 傷の修復を促す角膜ケア

目の疲れの原因は「角膜のダメージ」かも!? 傷の修復を促す角膜ケア

スマホやパソコンの長時間使用などで、現代人の角膜は傷ついている!?角膜のダメージは目の疲れを招く原因の1つ。「ビタミンA(レチノール)」配合の目薬を使う、まばたきを多くする、目の周りを温めるなどのケアで目をいたわりましょう。

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目を酷使する人が増えている!

新型コロナウイルス感染症の流行がきっかけで、「テレワークが日常化してオンライン会議が増えた」「自宅で動画を見たり、ゲームをしたりする時間が増えた」という人も多いのではないでしょうか。

ライオンの調査では、新型コロナウイルス感染症の流行前(20202月以前)と比べて、スマホやパソコン、テレビなどの画面を見ている時間が多くなったという人が約4割にのぼりました。
現在市販の目薬を使用している人と使用していない人とを比較すると、使用している人の方が「スマホなどの画面を見る時間が多くなった」と回答した割合が高いという結果でした。

<スマホ・PC・テレビ・ゲームなどの画面を見ている時間の変化>

目薬現使用者のディプレイ視聴時間の変化

目薬現非使用者のディプレイ視聴時間の変化

    調査委託先:株式会社マーケッティング・サービス、大学生~79歳男女の市販の目薬現使用者2,800名、目薬現非使用者700名、2021年6月

目の疲れにも関係する!?傷つきやすい「角膜」とは?

このように目を酷使していると「目の疲れ」が気になりますよね。目の疲れには様々な原因がありますが、「目の角膜についた傷」が原因という場合もあります。
「角膜」とは、眼球の表面にある、黒目全体を覆う透明な膜のこと。直径1.2㎝、厚さ0.5㎜程度の小さな組織ですが、目に光を取り込む「レンズ」としての重要な役割があります。血管は通っておらず、涙に覆われているものの生きた細胞が外部にむき出しになっていて、とても傷つきやすい部位です。

<目の構造>

目の構造

角膜の最も外側の部分は「角膜上皮」と呼ばれ、外部からの刺激を受けやすく、細胞がはがれてしまうこともあります。

角膜に傷がつく原因

そんなデリケートな角膜を守っているのは「涙」です。涙は主に上まぶたの外側にある「涙腺」でつくられ、まばたきによって涙の分泌と排出が促されます。このようにして、目の表面に均一な涙の膜をつくり、角膜を保護しているのです。

<涙の3層構造>

涙の3層構造

ところが、涙が不足して目が乾くと、外部の刺激から角膜を守りにくくなり、さらに傷つきやすくなります。こうなると、目をこするだけでも容易に角膜に傷がついてしまいます。
特に、スマホやパソコンでの作業中は、まばたきの回数が普段と比べて1/4 に減る※1そうです。まばたきが減ると、目を開けている時間が長くなることで涙が蒸発しやすくなり、目が乾きやすい状態に。

  • 1 出典:佐藤直樹「VDT作業とドライアイの関係」あたらしい眼科 9,2103-2106,1992

特にスマホはパソコンと比べて画面との距離が近いことから、目に与える影響もより大きいといわれています。

ほかにも、現代人の目が乾きやすくなる原因の代表的なものとしては、「コンタクトレンズ」「エアコン」「パソコン」があり、目が乾く環境要因の『3コン』とも呼ばれています。現代人は普通に暮らしていても目が乾く環境にあるのです。

角膜を覆うコンタクトレンズは、長時間装用していると涙が蒸発しやすくなり、目が乾くのはもちろん、コンタクトレンズの裏側(角膜に接する側)へ涙がいきわたりにくくなります。つけ外しの時に、爪で傷つけるケースもあります。

加えて、大気中には花粉やPM2.5、黄砂などの目に見えない異物が舞っています。目が乾いていると涙で異物を排除できず、簡単に傷ついてしまいます。

つまり現代は、生活スタイルや生活環境においても「角膜がダメージを受けやすい時代」なのですね。

角膜が傷つくと起こる症状

角膜が傷つくと、どんな症状が生じるのでしょうか?
角膜が傷ついているということは、「目のレンズが傷ついている」ということ。いわば、傷のついたガラス越しにモノを見る状態なので、見えづらく、目も疲れます

また、角膜の傷が治りきらない状態が続くと、目やにや充血などの症状が出ることもあります。目の症状がひどいと感じた場合や、痛みがともなったり涙が止まらなくなったりした時は、早めに眼科を受診するようにしましょう。

角膜が持つ2つの「自己修復力」

角膜は外部からの刺激を受けやすく傷つきやすい部位ですが、そのぶん高い「自己修復機能」を持っています。
1つは、角膜上皮が傷ついて細胞が部分的に失われてしまっても、周囲の健康な細胞が移動や増殖をすることで穴埋めをして、元の状態に戻ろうとする機能(角膜創傷治癒)。
もう1つは、角膜上皮細胞が57日という短期間で生まれ変わり、古い細胞を新しい細胞に置き換える機能(角膜ターンオーバー)です。古い角膜ははがれ落ちて、涙と一緒に流れたり、目やにとなって排出されたりします。

角膜の自己修復力の1つ「創傷治癒力」に悪影響をおよぼす要因

現代は角膜が傷つく要因がたくさんある上に、角膜の自己修復機能である創傷治癒力に悪影響をおよぼすと考えられる要因も存在します。
「夏場の屋外の活動で紫外線を浴びる」「パソコンで長時間仕事をする」といった日常的な場面でも、角膜は傷を治す力が低下するリスクにさらされている可能性があります。

<日常生活における角膜の創傷治癒力におよぼす要因>

日常生活の「角膜リスク」

日常生活の中で、角膜の創傷治癒力に悪影響をおよぼす要因は、実際どれほどの影響を与えるのでしょうか。
ライオンが行った実験では、「加齢」によって、角膜についた傷の修復率は有意に低下。若い世代の角膜の細胞での修復率を100%とすると、老化した角膜の細胞での修復率は約60%に留まりました。つまり、年を重ねると角膜についた傷が治りにくくなるという結果に。

加齢による角膜の細胞の修復力

    実験方法:角膜上皮細胞の継代培養を繰り返した老化モデルを作り、意図的に傷をつけ、その修復を観察。
    youngの修復率を100%とした時の、oldの修復率を算出

傷の修復率の差を、実験動画で確認!

若い世代の角膜の細胞と、老化した角膜の細胞それぞれの、傷を修復する様子をご覧ください。

young と old細胞の傷修復比較

young と old細胞の傷修復比較

(上記角膜修復実験を3時間ごとに撮影)

この動画の若い世代の角膜の細胞(young)と老化した角膜の細胞(old)の黄色い「傷」の部分を比較すると、時間が経つにつれ老化した細胞(old)の方が傷の範囲が大きく残っていることから、「老化した角膜の細胞(old)の方が、傷の修復率が低い」ことがわかります。

また、ブルーライトや紫外線による実験でも、加齢と同じように、傷の修復率は有意に低下しました。以上の結果から、日常生活の様々な要因により、角膜の傷は治りにくくなっていることがわかります。

角膜の自己修復力が低下した状態だとどうなるか?

これまで見てきたように、本来ならば、角膜には高い自己修復機能があり、少々ダメージを受けても周囲の細胞が穴埋めして傷を治し(角膜創傷治癒)、時間がたてば新しい細胞に置き換わっていきます(角膜ターンオーバー)。
ところが、現代はスマホやパソコンの長時間使用などで「角膜がダメージを受けやすい時代」である上に、日常生活の様々な要因で角膜の創傷治癒力が低下したり、加齢などによりターンオーバーがペースダウンしたりすることにより、角膜の傷は治りにくくなっています。修復が間に合わなくなると、傷が治りきらず、症状のさらなる悪化を招く危険性があります。

角膜の自己修復機能が正常な状態 角膜の自己修復機能が低下した状態

角膜修復を促す「ビタミンA(レチノール)」

傷つきやすい角膜のために注目したいのが、「ビタミンAレチノール)」という成分です。角膜の自己修復を促し、傷ついた※2角膜の修復を促進する働きがあります。

  • 2 軽度なこすれによる

<ビタミンA(レチノール)の作用>

ビタミンA(レチノール)の角膜細胞への作用

ビタミンA(レチノール)は、角膜の修復を促すヒアルロン酸の産生を促進します。ビタミンA(レチノール)配合の市販の目薬もあります。

角膜について、さらに詳しく知りたい方はこちら

角膜を守る7つのセルフケア

角膜は傷つきやすく、傷が治りにくくなっている今だからこそ、角膜を守るセルフケアを心がけたいですね。

POINT

角膜セルフケア

1.スマホやパソコンなどの作業時間は連続1時間まで

スマホやパソコンなどの作業時間は、連続で1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に1015分の休憩を取って目を休ませることが推奨されています。
「仕事でパソコンを見続け、休憩時間にスマホを見て気分転換」という人も多いかと思いますが、角膜にとってはNGです。ディスプレイを見続けることになるため、目は休まる暇がなく酷使されてしまいますのでご注意ください。

そのほか、厚生労働省では、「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」を設けています。作業環境などの参考にしてください。

参考:厚生労働省ホームページ

2.まばたきを多くする

涙が乾かないようにするには、まばたきの回数を増やすことが大切です。特にスマホやパソコンなどを集中して見ている時には、まばたきが減るので要注意。意識的にまばたきをすると良いでしょう。

3. お手製アイマスクで目を温める

電子レンジを使って適温のおしぼりをつくり、目の周りを温めることも有効です。目の緊張を和らげ、血行をよくします。
ただし、疲れ目や眼精疲労など、目を酷使することによって目が充血している時に温めると、逆効果になる場合がありますのでご注意ください。

4.目のツボを押す

疲れ目に効くツボを指で刺激してみましょう。下のイラストので示した場所を、指で23秒、気持ち良く感じる強さで押したり離したりを数回繰り返します。血流を促して緊張を和らげ、目の疲れの軽減にもつながるといわれています。

目のツボ

5.入浴する

からだを活動モードにする「交感神経」が優位になっていると、涙が出にくくなります。反対に、からだをリラックスモードにする「副交感神経」が優位になると、涙が出やすくなります。
副交感神経を優位にするには、入浴が効果的。温浴効果で緊張がほぐれてリラックスすると、自然とまばたきの回数も増え、目の乾燥を予防できます。

6.紫外線対策をする

紫外線は年間を通して放出されていますが、中でも「5月から9月」にかけての紫外線量はかなり多くなります。
屋外での活動では、サングラスをかけたり、日傘をさす、帽子をかぶるなど、紫外線対策をすると良いでしょう。

7.アイメイクの方法に注意する

アイメイクをする時、まつげの生え際よりさらに内側の粘膜部分にアイラインを引くと、「マイボーム腺」が詰まって目の乾燥につながるリスクがあります。

マイボーム腺の場所

目の乾燥を防ぐ涙の膜は、3層構造になっています(上図<涙の3層構造>イラスト参照)。もっとも外側にある「油層」は、上下まぶたの縁にある「マイボーム腺」から分泌される脂質の成分で構成されています。つまり、目の表面に薄い油膜をつくって、涙の蒸発を防いでいる状態。しかし、アイメイクでこのマイボーム腺が詰まってしまうと、油層が充分に機能せず目の乾燥を招いてしまうのです。

アイメイクはしっかり落として、まぶたの周りもきれいに洗うと良いでしょう。

目にやさしい生活習慣

ほかにも、次のような「目にやさしい生活」を心がけることが、角膜を守り、目の疲れを軽減することにつながります。

●睡眠不足に気をつける

 睡眠は、目を休ませて疲れをとることができる時間です。睡眠不足は目にとっても大敵。日頃から「十分な睡眠」を心がけましょう。

●適度な運動をする

運動と目とは無関係に思えますが、身体を動かせば血行が良くなり、目の疲労回復にも効果があります。

●栄養バランスの良い食生活を

目の健康を守るためには、栄養面からのアプローチも大切です。必要な栄養素をしっかり摂ると良いでしょう。

●ストレスをためない

ストレスは目にも影響をおよぼします。心地よい音楽や香りなど自分に合ったリラックス方法を見つけて、上手にストレスを解消しましょう。
 

いかがでしたか。現代に生きる私たちは、スマホやパソコンなどで目を酷使してしまうこともあるかと思います。適切なケアを心がけて、ダメージを受けやすい角膜の健康を守りましょう。

この記事を作成・監修した
マイスター

芳賀 理佳

ヘルスケアマイスター

芳賀 理佳

はが りか

くらしを彩る製品の香りの研究・開発、および身体洗浄剤・制汗剤の開発に約25年携わってきました。
快適な毎日が過ごせるよう、からだの健康・美容に役立つ情報をご紹介していきます。

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