何分の余裕を生み出せるか?渋滞学から学ぶ朝家事ハック

何分の余裕を生み出せるか?渋滞学から学ぶ朝家事ハック

家事や4歳の娘の身支度で毎朝バタバタ、イライラしてしまう、イラストレーターの原あいみさん。家事の無駄を徹底排除して、効率化を図るために東京大学の西成活裕(にしなり かつひろ)教授に「渋滞学」を学びます。知らぬ間に生まれる「おうち渋滞」の原因を見つけ出し、家族みんなが笑顔で出発できる朝を叶えることができました。

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こんにちは。イラストレーターの原あいみです。平日の朝は、朝食作りや細々した家事、4歳の娘の世話とやることがいっぱい!時間にも気持ちにも余裕はまったくありません。

原家の朝は毎日大さわぎ

こんな毎日をどうにかしたい!と思っていたところ、企業の業務効率化などにも活用されている「渋滞学」という学問を知りました。今回は、渋滞学の第一人者・西成活裕教授と朝に起こりがちなおうち渋滞とその解決方法を探ります。

西成活裕教授

西成 活裕(にしなり かつひろ)

東京大学先端科学技術研究センター教授。東京大学卒。修士及び博士課程は航空宇宙工学を修了、専門は数理物理学、渋滞学。2007年、『渋滞学』(新潮選書)で講談社科学出版賞と日経BP・BizTech図書賞を受賞。2013年に「科学技術への顕著な貢献 2013(ナイスステップな研究者)」に選ばれる。著書に『無駄学』『誤解学』(共に新潮選書)、『シゴトの渋滞学』(新潮文庫)など。

渋滞学ってなんですか?

東京大学・先端科学技術研究センター「西成研究室」

東京大学・先端科学技術研究センターにある「西成研究室」にお邪魔しました!

さっそく西成先生にお話を伺う

本日はどうぞよろしくお願いします!

原あいみ

先生、まずは「渋滞学」とは何か、教えていただけますか。

はい。そもそも原さんは、渋滞と聞いて何を思い浮かべますか?

西成先生
原あいみ

「車」の渋滞をイメージします。

多くの人はそうだと思います。でも、車だけでなく、「人」「モノ」「コミュニケーション」なども、流れが滞れば、それは「渋滞」です。ありとあらゆる流れの停滞、混雑、物事の滞りを解消するための学問が「渋滞学」です。

西成先生
原あいみ

なるほど!ちなみに、渋滞を解消すると、どんな良いことがありますか?

渋滞によって生まれてしまうもの、それは「無駄」です。つまり、渋滞を解消すれば、無駄はなくなる。仕事や家事もスムーズに行うために、ぜひ渋滞学を応用してください。

西成先生
原あいみ

今日はまさに「家事の無駄」を解消したくてやってきました。でも、渋滞学を家事に取り入れるというイメージが正直まだわからなくて…。

スムーズな家事のキーワードは「ゆとり」

ではまず、スムーズに家事を進めるために、一番大事なことをお伝えしましょう。

それは、無駄をなくし、「ゆとり」を作り出すことです。

西成先生
原あいみ

…ゆ、ゆとり。

例えば、なぜ車の渋滞が起こるのかというと、みんな間を詰めてしまうから。前の車がブレーキを踏むと、後ろの車にもブレーキのバトンがどんどん伝わって、最後には止まってしまう。全ての車がある程度以上の車間距離を守って走り続ければ渋滞は起きません。

西成先生
原あいみ

確かにそうですね…。

ここでいう車間距離=ゆとりです。

ゆとりがなく予定がパンパンだと、何かハプニングがあったらスケジュールの玉突き事故が起こる。

西成先生
原あいみ

スケジュールの玉突き事故!(笑)

例えば、ものすごく忙しい日に子どもが急に熱を出したら、焦りますよね。

西成先生
原あいみ

多分、「なんで今日なの〜(泣)」ってなります。

でも、時間にゆとりがあったら、「病院に行こう」と対応できますよね。

西成先生
原あいみ

はい、そう思います。「時間のゆとり」重要ですね。

それともう一つ、「スペースのゆとり」も重要になります。時間と空間にゆとりが必要です。今の状況を改善したいなら、いかに両方にゆとりを生み出すかを考えれば良いのです。

西成先生
渋滞学について楽しそうに語る西成先生

渋滞学について、とても楽しそうにお話しする西成先生

原家の朝の渋滞と、無駄を探せ!

原あいみ

実はですね、今日は本気で相談したかったので、我が家の朝の時間割りを書いてきました。

原家の朝の時間割

拝見します!…うん、先ほど話したゆとりがまったくないですね(笑)

西成先生
原あいみ

ですよね…。でも、よく見ると、たいしたことはやっていないんですよ!きっと無駄が多いんだと思います。なので、自分なりに我が家のどこに問題があるのか考えました。

おお、良いですね。聞かせてください!

西成先生
原家のリビング&ダイニング&キッチンのざっくり間取り図

原家のリビング&ダイニング&キッチンのざっくり間取り図

問題1 動線が良くない!

原あいみ

朝は娘のリクエストで、テレビ前の円卓でご飯を食べるんです。キッチンと円卓を何度行き来することか!収納も、朝の身支度に要るものが、あっちこっちに散らばっていることがわかりました。

確かに、スマートではない動線がいくつかありそうです。

西成先生
机の上が整頓されておらず資料が見つからない原さん

問題2 モノが多い!

原あいみ

夫婦そろってモノが捨てられない上、整理整頓も苦手です。ダイニングテーブルの半分は、常に書類や郵便物だらけ…。

そこから何かを探し出すのにも、時間がかかっているでしょう、きっと。

西成先生
原あいみ

そのとおりです。保育園で必要なプリントをバタバタと探すというのは、我が家のいつもの光景です…。

問題3 夫とのコミュニケーションのすれ違い!

原あいみ

娘が生まれてから、夫も家事に協力的になったのですが、意思疎通がうまくできていないな、と感じることがあります。

例えば、どんな時ですか?

西成先生
原あいみ

いつもは私が用意する娘の歯ブラシとコップを、夫が気を利かせてリュックに入れてくれていたのに、私は前日に使ったものが入ったままだと思い込んで、出して洗っちゃった…とか。

なるほど…!

西成先生
原さんの仮説を西成先生にお話している

仮説を先生に話していると、我が家の無駄がボロボロ出てきました…(恥)

複雑な動線とモノの多さを解消する、とっておきの方法はこれだ!

原さんの状況はざっと把握しました。

では、時間と空間にゆとりを持つための、とっておきの方法をひとつ教えましょう。

ズバリ、「ABC分析」です!

西成先生
原あいみ

ABC分析??先生、なんかいきなり難しそうですが…

大丈夫、大丈夫。とっても簡単です。

原さんのお宅に溢れているモノたちを、使用頻度ごとに3つに分類するだけです。

西成先生
よく使うモノ、たまにしか使わないモノ、めったに使わないモノの3つに分けるABC分析

使うor使わないの二択だと取捨選択がストレスになる場合がありますが、3つだとやりやすいですよ。

西成先生
原あいみ

確かにそうですね。中間があると、決めやすいです。

そして、A群に入ったモノを普段の生活動線に沿って置きましょう。

しかも、セットにしておくともっと便利!

西成先生
原あいみ

セットにしておくとは?

例えば…洋服ならパンツ・シャツ・靴下などはセットでコーディネイトしますよね。

あっちこっちにしまってあると、動線もタッチする回数も増えて無駄なんです。でも、A群を同じ動線上にまとめて置くだけで、この無駄がなくなり、ゆとりが生まれる!

西成先生
原あいみ

おもしろい!言われてみれば、とっても当たり前なのに、今まで気づきませんでした。

でも、「目的」が「手段」にならないように気をつけてくださいね。改善をがんばろう!と思うと、その手段自体、つまり「ABC分析をする」という行為が目的になってしまいがちなんです。原さんは、ゆとりが生まれたら、どんな朝時間にしたいですか?

西成先生
原あいみ

そうですね、家族みんながイライラせずに、笑顔で出発できたらうれしいですね。欲を言えば、床にあるモノをきちんと片付けて、お掃除ロボットをポチッと押して自宅を出ることができたら最高です!

良いですね。目的は「楽しいこと」であることが大事です。「みんなの笑顔のために改善するんだよね」という家族の共通の意識がないと、ギスギスしちゃうんですよ。

西成先生

[まとめ]
問題1の動線、問題2のモノが多いは「ABC分析」で整理してみよう!

■時間にゆとりを作るための「外段取り(そとだんどり)」

あと、日本人は気質的に、やることを詰め込みがちなんですね。

西成先生
原あいみ

ああ、わかります。私も「今日はあと10分ある!」なんて思うと、ちょっとでもできそうなことを詰め込んでしまうんです。それで結局、イライラして不機嫌に…

じゃあ、そんな原さんに、もうひとつのゆとりを生み出す方法を伝授します。

ズバリ、「外段取り」です!

西成先生
原あいみ

(言葉だけでは想像がつかない…)解説をお願いします!

その時間の外で準備できることが「外段取り」、その時間の中でしかできないこと「内段取り」です。

朝の時間割にあったすべての動きは「本当に朝にやらなくてはいけないこと」か、考えてみてください。

西成先生
時間のゆとりをつくる外段取り

私の経験から、だいたい2~3割は抜けますよ。ぜひ、前の日の夜にやれることを見つけましょう。例えば、「保育園の提出物準備」「娘の持ち物準備」「洗濯」などは、外段取りにできませんか?

西成先生
原あいみ

ギク!でもですね、夜は体力が残っていなくて…。本当に最低限のことをやって バタンと寝てしまうんです…。

はは、そうですよね。わかります。でもね、それも、1日にゆとりがないからなんです。

疲れてバタンキューとなってしまうほど、詰め込んでしまっているんですよね、きっと。

西成先生
原あいみ

あぁ〜、なるほどっ!

朝だけでなく、もしかしたら夜にも「外段取り」できることがあるかもしれないですよ。平日の夜ではなくて、休日に回していい家事は思い切ってやらない。とにかくトータルで考えた時に、忙しい時間から抜いて、忙しくない時間帯へ移動させることが大切です。「平準化」といって、忙しい山を崩して分散させるイメージです。

西成先生
原あいみ

朝も夜も、平日にがんばり過ぎなくて良いんですね!わぁ〜とっても気が楽になりました。

そうです、そうです。ちなみに「外段取り」を考える際に大事なのが「優先順位」です。そしてその優先順位を決めるのに一番大事なのは、先ほども話した目的です。目的に寄与していないものは、優先順位を下げましょう。

西成先生
原あいみ

わかりました!

[まとめ]
時間のゆとりは「外段取り」で作り出す!「外段取り」を決めるポイントは「優先順位」

コミュニケーションで誤解が起こるのは誰のせい?

最後は、問題3の「コミュニケーション」の渋滞ですね。

なぜ話が伝わらないか、誤解が生まれるか、様々な研究からわかったんです。

西成先生
原あいみ

はい!教えてください!

コミュニケーションがうまくいかないのは、伝え手にも受け手にも原因があるんです。なぜなら、話す方は自分の考えやリクエストを100%言葉にして伝えることはまずなくて、必ず一部を「省略」してしまうから。

西成先生
原あいみ

なるほど。

さらに、受け手はその省略部分を「思い込み」で補います。つまり、省略と思い込みのかけ算で、誤解が起こる。誤解の原因は伝え手・受け手、両方にあることをまずは認識しておきましょう。

西成先生
コミュニケーションの渋滞

原あいみ

肝に銘じておきます。でも、この誤解を回避するにはどうしたら良いのでしょうか?

これはもう、シンプルに「確認」するしかないです。

西成先生
原あいみ

「これやっといたよ」と声をかけ合うとか?

そうですね。あと「すぐにやるね」の「すぐ」の具体的な時間を共通認識しておくと良いですよ。人によって、「すぐ」が15分、1時間、明日までにと感覚に個人差があるので(笑)。

西成先生
原あいみ

明日から我が家の「すぐに」は「1時間以内」にします!

[まとめ]
誤解を防ぐためには「確認」するクセをつける!家でよく使う言葉の定義を確認しておく!

いろいろお話ししましたが、渋滞学をヒントに発想の幅を広げて、自由に考えてみてくださいね。

西成先生
原あいみ

今日のアドバイスを参考に、我が家の朝の家事を見直したいと思います。

笑顔の原さんと西成先生

西成先生、ありがとうございました!

朝の家事の効率化、実践してみました!

さっそく、我が家の目的を「お掃除ロボットをオンして、家族3人が笑顔で出発すること」に設定。

まず、ABC分析で「食器棚」「私の服」「娘の服」を整理しました。

原家でABC分析を実践してみました!

食器棚からは、存在すら忘れていた結婚式の引き出物などがゴロゴロと出てきました。前回の引越し(9年前)ではもったいなくて捨てられなかったモノを処分することで生まれた「空間のゆとり」を活かして、毎日使うA群の食器を、一番出しやすい引き出しに全部集めて収納!食器棚にゆとりができたことで、キッチンの足元に出ていた米や乾麺のストックをしまうことができ、キッチンでのすれ違いのストレスも緩和できました。

「私の服」は、物量的に一カ所にまとめるのは無理だとあきらめていたのですが、ABC分析をして、3年袖を通していない服たちにお別れをしたら、しっかりとスペースが空きました。あちこちに散らばっていた、靴下と下着をベッド前のクローゼットにまとめ、ひとつの場所で着替えられるようになるだけで、行ったり来たりの無駄な動きが激減!

一番驚いたのが「娘の服」A群の収納位置を娘が自分で取り出せる高さに移動したところ、いつもダラダラ、イヤイヤ着替えていた娘が、「あしたのコーデなんにしようかなぁ〜♪」とご機嫌で前日に洋服を自分で選び、朝起きるとすぐに自ら着替えるという、信じられない奇跡が起きたこと‼ABC分析をして、配置をちょっと変更しただけで、私と夫の朝の大仕事だった「娘を何度も起こしに行く」「娘の着替えを手伝う」が一気に省かれたのです。

洋服の収納場所を買えただけで、娘さんの朝の行動にも変化が!

コミュニケーションの渋滞については、夫と朝の家事を改めて書き出し、優先順位を一緒に考えました。それと同時に、各自の役割分担を確認し、誤解が生まれないように工夫も。

ここは、まだ「見える化」しただけですが、この作業を一緒にやったおかげで、協力して朝の家事をスムーズにしようという団結力が生まれたので、きっとこれからどんどん良くなるはず。うっかりスマホをいじっていると夫から「それ、優先順位低いんじゃない?」とまさかの指摘が入るように!西成先生、我が家に革命が起きていますよー!

朝10分の余裕が、心のゆとりにつながりました!

渋滞学が生み出した10分でできたこと

時間と空間にゆとりが生まれると、朝の家事の渋滞解消につながる!それは、驚くほどに先生の教えの通りでした。毎朝お掃除ロボットをポチッと押して、3人笑顔で出発ができる日が増えて、本当にうれしいです。

効率良く無駄なく家事をこなさねば…と思うとプレッシャーやイライラが生まれてしまうけれど、渋滞学をヒントに行動を見直す改善作業は、結果がすぐに出て、楽しいという感情さえ芽生えました。これからも無駄をなくして、さらにゆとりを生み出していきたいと思います。

編集:ノオト
撮影:小野奈那子

この記事を書いた人

原あいみ

原あいみ

難しいことをわかりやすく“マンガ”で伝えることが得意なイラストレーター。4歳の娘を持つワーママ。

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