宅配便の受取指定がホッキョクグマのためになる?身近な行動でサステナブル
皆さんは宅配便の受取指定をしていますか?実はそんな小さな行動で、北極で暮らすホッキョクグマの未来が少しだけ明るくなるんだそう。今回は私たちの身近な行動がどんなサステナブルな結果をもたらすのか、ライオンちゃんとライターのマキヤさんがカードゲームをしながら楽しく学びます!また、一般社団法人SDGs支援機構事務局長の深井宣光さんにもお話を伺いました。
はじめまして、マキヤです。サステナブルなカードゲームに挑戦します
こんにちは、マキヤと申します。(写真左)
お友達のライオンちゃんがサステナブルを日々学んでいるとのことで、今日は一緒にサステナブルについて勉強することになりました。大変光栄です。
ただ僕はサステナブルについて、「そういう単語を聞いたことがある」レベルなので、ついていけるか不安になりながら会議室にやってきました。
マキヤさん、見てみて!今日はぼくが手作りした、サステナブルなこのカードゲームを使って一緒に遊ぼう〜。
ありがとう!そしてすみません、そもそもサステナブルとは、その、何なのでしょうか。
サステナブルは、簡単に言うと「誰もが心から幸せに暮らし続けられる、持続可能な社会」という状態そのものを指すんだよ!人権、ジェンダー平等、気候変動、パートナーシップなど、世界中の人が協力して行動することが今まさに求められているんだ!
…。
どうしたの?
…すみません、自分には関係なさそうな単語がたくさん出てきた気がします。
実はそんなことないよ〜。ぼくもまだまだ勉強中なんだけど、サステナブルは個人のちょっとした行動が大切みたいだから、一緒に少しずつ学んでいこうよ。よ〜し、カードを使う前に1つ、具体例を出すね!
ありがとう!助かる!
例えば、「宅配便を確実に1回の配達で受け取れるように心がけると、ホッキョクグマのためになるかもしれない」んだ!!
ちょっとごめんなさい、どういうことでしょうか…。
一緒に考えてみよ!宅配便を受取指定すると、マキヤさんはまずどう行動する?
その時間は家にいるようにするかな…しかしホッキョクグマを飼っていないので…。
家にいて1回の配達で荷物を受け取ると、再配達の必要はなくなるよね?
そうね。
つまり運送車両の燃料やガソリン使用量が減ってCO2排出量が削減できるから、地球温暖化のリスクが減って、北極の氷が溶けだす事態を微力ながら阻止できるんだ。すごいよね〜!?
なるほど…相当深く連想していくんだね。
ぼくたちの身近でささやかな行動によって、北極の氷が溶けだすのを少しでも抑えられれば、北極に住むホッキョクグマたちの未来が少しハッピーになって、ぼくもハッピー!
確かに、俺もハッピーになる方に行動したい。でも考え方を身につけるのがむずかしいね。
大丈夫!このカードで一緒に遊ぶときっと身につくよ〜。こうやって連想していくと、自分の行動が意外な結果につながっていくかも?といういろいろな可能性が見えてくるからおもしろいでしょう?
こんな感じで、自由に発想して、その理由も考えてみてね!カードはたくさん用意したから、赤いカードが「行動」、青いカードが「結果」になるように、マキヤさんもさっそく結びつけて〜。
えっ、むずかし…
友達を呼びました。
先ほどのライオンちゃんが選んだ2枚のカードは、「坊主頭にすると」→ドライヤーいらずで節電になる→CO2削減で温暖化防止→生態系が守れる→「おいしい魚が食べられる」とのことだった。
わかるわけがないと思ったが、そう考えてしまうのはきっと自分の脳がサステナブルに適応できていないのだろう。このゲームを通じて理解できるようになりたい。
ただどうしてもひとりで攻略できるビジョンが見えなかったので、友人を呼びました。
動物関係の写真を撮る仕事をしているからサステナブルだろうという、筆者の浅い判断で召喚された。
さっそくふたりの前にカードを並べ、ゲームを始めてみます。読者の皆さんも、よかったら一緒にサステナブルな組み合わせを考えてみてね。
改めてカードを見たが、難解だ。青いカードに書いてある【結果】が「飢餓が減る」など、すべて壮大すぎて、どこから手を付けていいのかわからない。
先ほどの宅配便とホッキョクグマの例のように、踏み込んだ連想が必要になるのだろう。
いや全然わかんない…適当に2枚選んでもダメだなこれ、霧の中を歩いているみたいだ…。
いや、つながりそうなやついっぱいありますよ。
あるかな?これは、どれとつながるんだ…。
僕もうできましたよ。これとこれを結びつけます。
えっすごいな、頼りになる。
仮説1:「恋人ができると×街中に自然が増える」
どういうことどういうこと!なんで増えるの!?
いいですか?恋人ができたら、クリスマスデートをしますよね?
はい。
クリスマスデートといえば、何よりもクリスマスツリーが必要ですよね。
そうかな、もっとあると思うけど。
つまり、
こういうことだよね。
そうなの?これサステナブルなの?さっき聞いた例とだいぶ毛色が違うけど。
こういうことです、これこそがサステナブル。
今日は一般社団法人SDGs支援機構事務局長の深井宣光さんをオンラインでお呼びしているから、勝山さんのこの連想について聞いてみよう〜!
よろしくお願いします。
よろしくお願いします!いきなりすみません、この回答はサステナブルですか?こういうことなんですか?
いきなりぶっ飛んだのが来ましたね(笑)。そういうこともある…のかな(笑)
いきなり困らせてしまった。
全然芯を食ってない。
いえいえ、勝山さんの発想はおもしろいのですが、もみの木を植えるカップルってそんなに多くないですよね(笑)。もう少し別の要素でもふくらませることができると思います。
例えば、「恋人ができると」→ふたりの将来を考えるようになる→一緒に暮らしたい街のことを考える→緑の多い街を望む人が増える→「街中に自然が増える」みたいにするとよりサステナブルじゃないですか?
おおーすごい!確かに、僕は千葉に住んでるんですけど最近新しいマンションがたくさん増えて、どれも「緑推し」の広告が貼られて、街の自然もすごく整備されました。
確かに、僕も考えてみたらクリスマスデートをしたことがなかったです。
何が「確かに」なんですか。
でも、そういう風に考えるってわかればできそうだな、ちょっとこれいっていいか。
おっ!お願いします。
仮説2 「電子書籍を読むと×野生のチンパンジーの数が増える」
電子書籍を読むと紙の消費が減って、そうすると木が増えるから、
こういうことでしょ。
おーそれっぽい!
深井さん!これ正解でしょ!お願いします!
目の付け所がいいですね!
やったー!
チンパンジーの数が減っている要因の1つとして「違法伐採」が挙げられます。電子書籍を活用することで、伐採後に植林を行わない「違法伐採」を減らすことに貢献できる可能性はありますね。
もう正解じゃんこれ…クリスマスツリーとは回答のレベルが違う…。
さらに、電子書籍を使用する時に使うエネルギーについても思考を巡らせると、よりサステナブルにレベルアップしますよ。
エネルギーもチンパンジーに関係があるんですか?
チンパンジーの減少は違法伐採のほか、地球温暖化も大きな要因の1つなんです。タブレットを使用する際のエネルギーを石炭や石油などの化石燃料から生み出されるエネルギーではなく、「再生可能エネルギー」を選べば、CO2削減という面からもチンパンジーの生活環境を守ることができます。
いろいろなことがチンパンジーにつながっていく…。
専門用語になってしまうのですが、「トレードオフ」という言葉があります。これは、何かを選ぶ際に他の何かを犠牲にする状況を指します。日々の暮らしの中では、トレードオフの解消も考えていきたいところです。
なるほど、ここまで考えられるようにならなきゃいけないんですね…むずかしいな…。
いえ、マキヤさんは今こうやって頭を悩ませながらも、たった1つの小さな点から始まるサステナブルなつながりを考え始めている時点で、いい感じに「サステナ男子」への一歩を踏み出せていますよ!
そういう単語があるんですね。
仮説3「推し活をすると×誰もが自分で仕事を選べるようになる」
考え方はわかりました。僕はアイドルが好きなのでこのカードを選ばせてもらいます。
なるほど、これは本当ならうれしい理論だね。
「推し活をすると」お金がかかります。でも推し活のエネルギーってすごいですから、お金を稼ぐために、仕事をがんばったりスキルアップして、優れた人材になり、
「誰もが自分で仕事を選べるようになる」んですよ!!
すごい、なんか正しい気がする。
お、これはいいですね。目標を掲げて、そのために意欲を持続可能にできるという点が特に良いです。その結果として、自分を高めることができて、優れたスキルが身につき、変化する社会でも対応できるサステナブルな勝山さんになれるってことですね。
僕自身が…サステナブル…!
ただし、不要なグッズまで買わないように気をつけてくださいね(笑)。そして、要らなくなったグッズは捨ててしまうのではなく、フリーマーケットなどに出して、ほしい人に受けついでいくというのもサステナブルです。
なるほど、推し活といってもいろいろありますもんね。
勝山さんのように対象がアイドルでなくても、例えば自分自身は直接的に実行できなくても、共感できる取り組みをしている企業や団体を応援することも「推し活」ですよね。そういう意味では、応援している企業の商品を購入することでの「支援」や「寄付」も広い意味では、推し活だと思います。
水族館の1羽のペンギンが好き過ぎて毎週通っている友達がいますが、それが水族館の売上になってペンギンの居場所を守ったりしてるってことですもんね。
仮説4「???×誰もが夜、安心して外を出歩けるようになる」
今までの話を聞いてて思ったけど、これ答えが1つじゃないな。
一気に3枚いくわ。これはこれにも結びついて、これともつながるから…。
青いカードは、「誰もが夜、安心して外を出歩けるようになる」なんだけど、それに結びつけられるのは3つあったんだよね。
すごい、覚醒してる。
1つずついきます、「歯をみがくと」だけど、そもそも歯みがきは口臭予防と感染症予防にもつながるという意味で、人への思いやりだと考えてる。それにより思いやりのある世界になって、というロジックです。
歯みがきは思いやり…!考えましたね(笑)でも、歯みがきって一般的には誰もが日々すでに当たり前にやってることだと考えられるので、そう考えると思いやりのある世界に結びつきそうでしょうか…?
いえ、前に働いてた会社で、なぜか絶対に歯をみがかない人がいてすごくイヤでした。
…おそらく特殊なケースですね(笑)。より普遍的にするなら、歯みがきをすることで、自信を持って人と話せるという発想はどうですか?
たしかに。歯みがきしてないと声小さくなる。
なので、自分に余裕ができる→人を気遣える思いやりのある世界に →「誰もが夜、安心して外を歩けるようになる」みたいにするとよりサステナブルかなと思います。
わーなるほど!思えばその歯みがきをしない人、めちゃくちゃ気配りができない人でした。
その人も歯みがきさえしていれば。
じゃあ次のはどうですか?「スマホを見る時間が減ると」→ 視力が良くなる→暗い夜も目がきくようになる → 「誰もが夜、安心して外を歩けるようになる」
スマホを見る時間が減っても、それだけで視力は良くならないですよね、悪くはなりにくいとは思いますが。
あっ…。
これをつなげるなら、「スマホ依存」の軸がいいかもしれません。スマホによる睡眠不足や集中力の低下はエビデンスもあります。ですので「スマホを見る時間が減ると」→他のことができるようになる→人との会話が増える→お互いのことがより理解できる→価値観の違いで起こっていた争いが減る→「誰もが夜、安心して外を歩けるようになる」はどうでしょう?
すごすぎる。深井さん、すべてのカードを結びつけられそう。
最後に一番自信あるやつ、いかせてください。「美術館に行くと」→美術館が儲かる→美術館が様々な絵を飾れる →有名美術館になる→ 文化的な街になる→「誰もが夜、安心して外を歩けるようになる」
いいですね〜!文化的な街、というのを深堀りするともっと良くなると思います。もしくは、美術館の作品を通じて自分にない価値観を得る→価値観の多様性を知る→他者を攻撃する可能性が減る→相手を受け入れる姿勢ができる→価値観の違いで起こっていた争いが減る→「誰もが夜、安心して外を歩けるようになる」なんて考え方もできそうですね。
多様性にまで触れていてすごい。
こういう風に考えられる人になりたい…習慣づければできるのかな。
ぜひおふたりとも、サステナ男子になってください!あと、今日のカードゲームの選択肢にはなかったのですが、今日からでもすぐに意識できる行動が大きな結果につながるパターンは他にもこんなものがあります。よかったら意識してみてください!
スマホを長く大事に使うと、紛争の被害にあっている子どもや女性を守れる?!
紛争鉱物不使用(コンフリクトフリー)をHPなどで明言していない企業のスマートフォンには、紛争によって奪い取られた「レアメタル」などの鉱物が使用されている可能性があります。先進国の人々が最新のスマートフォンを求め続ける結果として、発展途上国ではその鉱物等を巡って起きる紛争が絶えず、子ども兵が増えたり、女性への性暴力につながってしまうことも。なんとなく最新のスマートフォンを買い求めることはやめて、本当に必要なのか考えてみましょう。また、スマートフォンの製造・販売元が「紛争鉱物を使用していない」と公言している企業か調べるなどのアクションも意識していきましょう。
街でゴミを拾うと、海の生き物と自分の健康を守れる?!
海の生き物の生態系や健康に被害を与えている海のゴミの70〜80%は陸のゴミが海に流れ着いたものだといわれています。ゴミが海洋生物のからだに刺さったり、巻き付いたりする直接的な被害はもちろん、私たち人間も、魚や海藻を食べることで目に見えないほどに小さくなった「マイクロプラスチック」を摂取しているそうで、ある研究ではその量は、1週間にクレジットカード1枚分(約5g)とも報告されています。街中のゴミを拾うことは、海の生き物も自分の健康も守ることになるので、見て見ぬふりをなくして積極的に拾っていきましょう。
衣類を大切にすると、水のムダ使いを防ぐことができる?!
約22億人もの人々が、安全に水を飲める環境で暮らせていない中、一方でTシャツを1枚を作るために約2700リットルもの水が使われています。また、先進国の人々が最新のトレンドや安価な衣類を求めることで、発展途上国の女性や子どもが低賃金かつ劣悪な環境で労働奴隷となっているという現状も。手持ちの衣類をしっかりメンテナンスして長く愛用したり、新しい衣類を購入する際は製造や流通背景について調べたりして、サステナブルなファッションを楽しみましょう。
行動の「その先」を、少しでも考えていきたい
最初は困難に思えたサステナブルカードだが、後半には次から次へとアイデアが出て止まらなくなった。
カードを見返してみると赤いカードの1つひとつは、今すぐでもできそうなことばかりだ。そんな1人ひとりの小さな行動が、大きな結果を生む。
「考え方」を少し変えるだけで、いろいろな行動がサステナブルになる。普段の生活の中で、みんなが「その先」を少し考えることが、これからの時代に必要なことなのかもしれない。
とりあえず宅配便を1回で受け取るだけでホッキョクグマのためになるかもしれないのなら、僕はそうしていきたい。
街に自然を増やすために、恋人を作るぞ!
そういうことなのかな。
深井 宣光(ふかい のぶみつ)
一般社団法人SDGs支援機構事務局長。SDGs専門メディアサイト&国内最大のSDGs専門YouTubeチャンネル「SDGsジャーナル」を運営。SDGsを専門知識ゼロでもわかるやさしい言葉で伝え続け、わかりやすいだけでなく行動を喚起する解説者として全国から注目を集めている。著書の『小学生からのSDGs』(KADOKAWA)はベストセラーになっている。
イラスト:あなんよーこ
編集:ノオト
・当記事に掲載の情報は、執筆者の個人的見解で、全てがライオン株式会社の見解を示すものではありません。
この記事を書いた人
マキヤ
1991年生まれ。ライターなどをしつつ編集やSEOの仕事をしてるサラリーマン。普段使いする歯みがき粉が定まらない。
X(旧Twitter):https://twitter.com/TwisterMakiya
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下記のコメントを削除します。
よろしいですか?
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